2021年7月28日水曜日

Radical evil

小林秀雄は若い頃好きな作家だったのでパラっと流し読み。 小林秀雄ってのはやっぱベランメエの魅力でなにかそこから論理的なものを構築できるような評論家ではないんだな、と改めて思った。

「絶対悪」という言葉に惹かれて 

道徳を基礎づける 孟子vs.カント、ルソー、ニーチェ

を図書館から借りてパラッと流し読み。これはわりに面白かった。

ただ、根源悪の説明があまりない。で調べると、

Radical evilのことなんだね。

Radical evil (German: das radikal Böse) is a phrase used by German philosopher Immanuel Kant, one representing the Christian term, radix malorum. Kant believed that human beings naturally have a tendency to be evil. 

”radical ”ってのは「過激 」というのが自分の頭にあったが、

radical adjective

1: of, relating to, or proceeding from a root: such as

a(1): of or growing from the root of a plant

radical tubers

(2): growing from the base of a stem, from a rootlike stem, or from a stem that does not rise above the ground

 「元来」的とか「本来」的みたいな意味があるわけだね。

つまり、人間は本来 悪に向かう傾向がある、とカントはみた。カントとしては、理性で普遍的な格率に従うことによって正しい道を歩めると考えたんだろね。

対して、孟子はいわゆる性善説で違う立場なわけだね。

「孟子にとって、悪は・・・単に「不善」であって、理論的な内実をもたない。p171」

「個人的な観点に関しては孟子の立場は明らかにルソーの立場と一致している。ルソーも道徳性を天与の善性に基礎づけており、カントと違って根源悪を信じようとしないからである。p173」

共通点もあって

 どちらにとっても人間を価値あらしめるもの、そして、生存以上に大事なものはカントの擁護で言えば、道徳によって人間が自分の「目的」を「その本性の崇高さ」も従ってはたすことであり、人間が無制約者(別名では孟子のいう「天」に結びつくことなのである。

と。 

また、

 國人皆曰賢、然後察之、見賢焉、然後用之

民意は究極的でありもっとも決定的で基準であり、それこそが最終的に決着をつけるp239

というように民意を重視はしていた。もっとも

民が「本」であるだけでなく「主」であろうとする政治制度を考えるにはもう一歩踏み込めなかったp241

と。

 現代の中国も民意を気にせざる得ないが民主主義にはいたらない・・・似たようなもんだね。

・・・・まあ、面白かったので訳者の「悪の哲学」でも借りて読んでみようかな、と思っている。 

 



 

 




 

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