2021年10月16日土曜日

近時においては,子を持つこと以外の婚姻の目的の重要性が増している、と

これは字が読めないわけじゃなくて、婚姻は”本当に”次世代を育成するための仕組みなんですか、ということであろう。 婚姻にこういった機能があるのはたしか。しかし、

 【札幌】甲A296 木村草太先生意見書 ※憲法 14 条 PDF


先ほど指摘した法律婚の効果は、二つのグループに分けることができる。 

その第一が、男女の生殖関係(自然生殖関係を意味する。以下同様。)を保護するための 効果である。夫婦の間の生物学的意味での子に対する嫡出推定(民法 772 条)が、その例で ある。 

第二は、当事者の愛情に基づく親密な関係を保護する効果である。子とは関係のない婚姻 の規定、例えば、配偶者相続分・遺留分の設定(民法 900 条、1042 条参照)や、氏統一(民 法 750 条)、相互扶助義務の設定(民法 752 条)などが、その例である。

令和 3年 3月 17日判決言渡

平 成 31年(ワ)第 26 7号

ロ頭弁論終結日

令 和 2年 10月 28日

判 決

現行民法は子のいる夫婦といない夫婦,生殖能力の有無, 子をつくる意思の有無による夫婦の法的地位の区別をしていないこと,子を産み育てることは,個人の自己決定に委ねられるべき事柄であり,明治民法においても,子を産まないという夫婦の選択も尊重すべき事柄といえること,子を産み育てることが婚姻制度の主たる目的とさ れていたものではなく,夫婦の共同生活の法的保護が主たる目的とされていたものであり(認定事実(3)ウ),昭和 22年民法改正においてこの点の改正がされたことはうかがわれないこと(認定事実(5)ウ)に照らすと, 子の有無,子をつくる意思・能力の有無にかかわらず,夫婦の共同'生活自体の保護も,本件規定の重要な目的であると解するのが相当であ15 る。特に近時においては,子を持つこと以外の婚姻の目的の重要性が増しているとみることができ,事実子のいる世帯数は年々減少しているにもかかわらず,いまだ婚姻件数は毎年 60万件を超えて婚姻率も諸外国と比べて比較的高く 子を持つこと以外に婚姻20 と (認定事実(9)ア(ウ))には,(イ)子を持つこと以外の婚姻の目的の重要性が増している。

すなわち,婚姻の本質は,両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあるが,異性愛と同性愛の差異ば性的指向の違いのみであることからすれば, 同性愛者であっても,その性的指向と合致する同性との間で,婚姻の本質を伴った共同生活を営むことができると解される。


明治民法でも、 「子を産み育てることが婚姻制度の主たる目的とさ れていたものではなく」ましていわんや現行民法でも主たる目的とは限らず、現代においては、「子を持つこと以外の婚姻の目的の重要性が増している」、というわけだねーー説得力あると思いますけどね。

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