2020年6月11日 08時54分
コロナ禍の対策で、日本図書館協会がガイドラインとして「来館者名簿の作成」を示し、波紋を広げた。感染症の対策は必要だが、個人情報の保護をはじめ利用者の権利を何より尊重してほしい。
協会は全国の図書館や館員らで構成。政府の新型コロナウイルスの基本的対処方針に基づき五月、公共図書館向けのガイドラインを公表した。適切な処置の一つに、「氏名及び緊急連絡先を把握し、来館者名簿を作成する」ことを挙げた。
これに対し現場の職員や識者からは「利用者の秘密を守るという理念に反する」などとする疑問の声が相次いだ。
協会の「図書館の自由に関する宣言」では、「図書館は利用者の秘密を守る」として、「読書記録以外の図書館の利用事実に関しても、利用者のプライバシーを侵さない」と定めているためだ。
そもそもこの宣言は、戦前の思想統制の時代に図書館が国家によって「不適切」とされた書籍を処分するなど、国民の思想信条を国家の意に沿うよう「善導」する一翼を担ったことへの反省から、戦後に生まれた経緯がある。
ある個人がどんな書籍を選んで読むか。それは、憲法が保障する思想や良心の自由と密接に関わることは言うまでもない。どの人がどれほど図書館を利用して、どの本を借りたかという情報は、特に慎重に扱われるべきだろう。
こういう厳しいプライバシー対策ってのは英語圏の記者たちは取り上げない。
まさか自分たちの祖国より人権に関して厳しく取り組んでいるなんて思いたくもない。
しかし、現地の住人たちがどんな問題に直面し、どんな衝突があり、どんなふうに取り組んでいるか報道するのが外国特派員の役割だろう。
祖国の人間が喜びそうな固定観念を助長するような記事ばかり書いて一生を終えるのだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿