今回のウクライナ軍事侵攻と比べて、1999年NATOのユーゴ空爆や2003年のイラク戦争はどうかという意見がある。武力行使に関する国際法上の根拠という点ではいずれも弱い、むしろいずれも違法といってもいい。しかし、以下の点で大きな違いがある。上記拙文で言いたかったことの1つは実はこの点。
— 酒井啓亘(Hironobu Sakai) (@UtBeneVivas) April 14, 2022
それは安保理を中心とした国連集団安全保障体制の活用を目指したかどうか
ということ。コソボ問題では、憲章第7章に言及した安保理決議1160、1199及び1203が採択されたものの、安保理内で協力を得られずに武力行使を許可する文言が挿入されず、不確かな「人道的介入」論を根拠に。
イラク戦争ではやはり武力行使を許可する文言のない安保理決議1441しか採択されず、結果、決議687を踏まえた決議678の復活という筋悪の解釈による正当化に。しかし、それでも国連の集団的措置の形式を踏まえようとはした。私見では、国際法上違法であることは否定できないが。
それは確かに「イチジクの葉」にすぎないし、国益優先の側面もあったに違いない。しかし常任理事国としての責務として安保理を動かそうとする努力は認められた。それに対して今回はどうか。上記の国際違法行為があったからといって今回のロシアの軍事侵攻の免責にはならないのは当然。
The expression "fig leaf" is widely used figuratively to convey the covering up of an act or an object that is embarrassing or distasteful with something of innocuous appearance, a metaphorical reference to the Biblical Book of Genesis in which Adam and Eve used fig leaves to cover their nudity after eating the forbidden fruit from the tree of the knowledge of good and evil
しかも個別的集団的自衛権は、国連の集団的措置が発動されるまでの暫定的な性格のもの。だが、最初から安保理を考慮せず、むしろ機能不全に陥れて、自衛権(ですらないが)行使を長期化させようとするその姿勢は、自身が常任理事国として負うべき集団安全保障体制への責務とは逆行するのでは。
という特権は集団安全保障を実効的に実施するために付与されているはず。戦後の国際秩序を担うべき大国が自国の勢力圏を追い求める手段として用いるのは、その法制度の趣旨としてどうか。常任理事国としてのその資格を真剣に問い直すことも必要なのではなかろうか。現実には難しいとは思うが
ロシアはいちじくの葉くらいつけろよ、みたいな?
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