2022年6月19日日曜日

SOLUTION-FOCUSED 

  心理療法というと映画とかで長椅子によこになって、セラピストが患者の過去や夢について聞いて、なにか抑圧されたものがあるんじゃないか、と探っていく場面をみたことがある。しかし、こんなセッションを何十回何百回と続けても、問題とされている感情や行動が改善されるとはかぎらないのだそうだ。

 昔整体の野口先生の本だったかなんだったかで、原因はどうでもいいんです、原因はこれだ、と示して相手が納得してそれで良くなればそれでいいんだ、というような話があったのを読んで、なるほどと思ったことがある。

 (ちなみに野口先生の講話記事からは、「と認める」技術(レフレーミング)とか思い浮かべる空想の利用法とか「ねばならないことはない」など論理療法やエリクソン療法にも通じるいろいろなことを学んだ気がする)

 鬱やヒステリー現象の背後にトラウマや性欲の抑圧があった、とセラピストは診断したとする・・・それが原因かもしれないし、原因じゃないかもしれない、その原因を患者が知ったところで症状が改善されるかもしれないし、されないかもしれない。だったら、問題感情や問題行動の原因なんてどうでもよくね?と解決に焦点をおいたのがolution focused therapy である。

図式的には、

The Theory

1. What’s the trouble? (“If it’s not broken, don’t fix it.”)

2. If it works, do more of it.

3. If it doesn’t work, stop doing it. Do something different.

p12 Doing What Works in Brief Therapy  EUen K. Quick


p125 BECOMING SOLUTION-FOCUSED IN BRIEF THERAPY
John L. Walter Jane E. Peller 

ーーこんな感じ
問題があって相談にくる。

問題が解決したらどうなってなにをしているかを空想してもらう、あるいは、問題がおきていないときは何をしているか、を聞く。

うまくいっている場合の行動を一部あるいは全部やってもらう。

  うまくいっていなければ別のことをする。 

具体的には、例えば、



“What is the first thing Andrew will notice about you that first morning after the miracle that tells him you are feeling better without you telling him about it?”
Sara thinks for a long time, and looks thoughtfully out the window before answering, “He would notice that I didn’t wait for his initiative. He would notice that I would want to do something regardless of what he wanted.”
The therapist echoes, questioningly: “He would notice that you took the initiative?”
“Yes . . .” Sara adds: “I don’t do anything without him now. I wait for him to say what he wants to do and then I do it regardless of if I want to. Nothing is fun anyway,
so it doesn’t matter and he notices.”*
THERAPIST: So how would that be different after the miracle?
SARA: He would notice that I want to do something. He would see that I am much more joyful and self-confident. I’d suggest something and then I’d do it. I wouldn’t care if he was up for it or not.
THERAPIST: How would he notice?
SARA: He would see me smiling, maybe I’d give him a hug spontaneously, and maybe I’d talk about something other than how I feel.
THERAPIST: For instance what?
SARA: It could be anything. A book I read or me telling him I want to see one of my friends. Anything.

p48 More Than Miracles: The State of the Art of Solution-Focused Brief Therapy by Steve de Shazer and Yvonne Dolan 

Interestingly, Wittgenstein thinks that “the world of the happy is quite another than that  of the unhappy” (T, #6.43).

As Wittgenstein puts it: “A . . . problem has the form: ‘I don’t know my way about’” (PI,#123)

Wittgenstein’s questioner says “but ‘joy’ [an emotion] surely designates an inward thing.” Wittgenstein replies: “No. ‘Joy’ [an emotion] designates nothing at all. Neither any inward nor any outward thing” (Z, #487). “Joy is manifested in facial expression, in behavior” (Z, #486).

 理論的支柱としてウィトゲンシュタインがよく引用されている。問題は・・・問題からの脱出法が空想できないこと、「どうなっていないか」「どういう気持になっている」よりも、「そうなっていないとき」「そういういう気持ち」のとき、どんな表情で何をしているか、を空想させることが大事と言われると・・・なるほど、通じるものがあるのかな、とも思うわなあ。


 おれの友人にはこれを活かしていきたいと思っている。遠くに住んでいるから、意思疎通はライン通話の普通の会話のなかでそれとなく挿入していく。論理療法もいいんだけど、彼には合わない。こちらのほうは、自分で見つけてくるだけにその人に合った抜け道というか解決法で、その人に一番合っている。本人たちが思いつかないものを押し付けても・・・うまくいかない場合もおおいだろうし・・・「それやっているわけだから、これはできるし、こうすればよくなるのに!」とこちらがいきり立つ事が多かった。むこうがうんこするのにこっちが気張ってもしょうがない。
 こっちも素人だし、brief therapy ー短期でうまくいくともおもっていない・・・気長にやるしかない。
 精神科の先生は睡眠誘導剤とかしかくれない・・・ゴミ屋敷に住んでいても、自己破産3年以上できていなくても・・・お店に一人でいけなくても・・・犯罪おかすわけでもなく、障害年金もらってそこそこの生活してそれで安定していれば・・・本人に不満や絶望はあってもそれはそれでいいだろう、という見立てなんだろう。そうかもしれないが、友達としてはもう少しなんかしてやりたいところなのである。
 

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